放射線安全部門

  • 核融合炉や原発事故に関連するトリチウム蓄積量の測定法の研究と、トリチウム汚染材料の除染法の研究、核融合炉システムにおけるトリチウムの循環の研究による社会貢献と人材育成 
  • 安全安心な放射線・放射能の制御に向けて、さまざまな放射線迅速検出技術の実用化の促進と、放射線によるDNA変異の影響評価法の開発による社会貢献
  • 生命科学基礎研究による生物学的資源の利用手法の開発し、水素、酸素、および二酸化炭素から有機化合物、機能性タンパク質、光合成タンパク質の合成

対象領域

1)生命・環境に及ぼす放射線の影響の理解

  • 放射線のDNA損傷機構
  • 放射線の人体への影響理解
  • トリチウムに代表される核反応生成物と生命環境の関係
  • 核反応生成物処理の廃炉や環境修復への応用

2)高温ガス炉・核融合炉などの次世代エネルギーの安全な取扱い

  • 高濃度・大量トリチウムの取扱技術の開発

研究内容

  • 放射線によるDNA損傷等の人体、生物への影響
  • 放射性核種による汚染機構の解明と除染技術の開発
  • 環境トリチウムの迅速な測定法の開発
  • トリチウムを含む非密封放射性核種を用いた細胞とDNA損傷機構の解明

研究教育から輩出したい人材像

高度な放射線の知識を有し、放射線の生体影響を理解して新しい技術開発に望める原子科学研究・技術者

遺伝子損傷
トリチウムによる細胞死

次世代革新炉部門

  • 次世代革新炉等の効率及び安全性をより高めたシステムを提案し、安全性技術や高温環境下で利用できる新素材の候補を選定
  • 次世代革新炉で計画されている水素を用いるエネルギー源の技術向上を材料工学の立場から提案
  • 熱電変換物質開発とコンポーネント化等による熱エネルギーの効率的回収技術を材料科学の立場から提案
  • 省エネルギーや低環境負荷を実現する軽量化や複合化材料を材料科学の立場からリストアップ
  • 第一原理に基づく放射線と化学の融合により、効率的な水素や医療用RIの製造方法を開発
  • デジタル技術を利用した従来型軽水炉の廃炉技術の研究開発を実施し、事業化のスタートアップを目指す。

対象領域

1)原子炉内の熱流動現象の数値解析

  • 圧力容器内の水素成層化
  • 液体と溶融金属の相互作用
  • 高速増殖炉のガス巻き込み現象

2)次世代革新炉に関する研究・開発(JAEA・QST・IES等と連携)

  • 高温ガス炉
  • 革新軽水炉(小型モジュール炉)
  • 核融合等

3)未来志向の原子力エネルギー活用方法の探求

  • 高温や廃熱の利用による地域活性化
    • 高温利用産業、二酸化炭素の分解・活用、水素や炭化水素化合物の生成・利用、新しい農業・水産業の創生
    • 要素技術(物質・材料)開発に基づく地域エネルギー供給:新コジェネレーションシステムの社会実装へ
  • 原子炉の安全性向上(従来型の軽水炉の安全性向上)
  • 次世代核燃料サイクルの確立(トリウム燃料、高温ガス増殖炉、核変換技術など)

研究内容

  • 原子炉内の熱流動現象の数値解析
  • 次世代革新炉の研究・開発(特に、現象解析を中心に)
  • 高温ガス炉から得られる残熱を活用した水素生成や炭素化合物(二次エネルギー源)生成
  • 熱効率の向上に資する高温耐性材料(高温耐性イオン交換膜等)の開発
  • 次世代核燃料サイクルの検討:トリウム燃料の成立性、高温ガス炉を含む核燃料サイクルや増殖炉の検討
  • JAEA革新炉での熱利用:熱電変換プロジェクト
  • JAEA革新炉からの水素利用:e-fuel製造プロジェクト

研究教育から輩出したい人材像

従来型原子炉の知識を有し、次世代原子炉に関する研究・開発に貢献できる高度な実務者(運転管理やメンテナンスの要員)の育成

出典:JAEA
出典: https://www.jaea.go.jp/04/o-arai/research/research_03.html

応用原子科学部門

  • 高度量子ビーム解析の産学官連携利用による、省エネルギーや低環境負荷を実現する軽量・複合化材料や金属材料など、社会インフラ材料や製品材料を創出。そのための階層構造解析測定技術の開発。
  • エレクトロニクスやスピントロニクスの材料革新に繋がりうる多体系電子系の新奇量子機能の基礎研究として、交差相関を示す物質、超伝導体、磁性体を開拓
  • エネルギー問題に資する材料(水素貯蔵材料、熱電材料、太陽電池材料、超残光蛍光体など)の階層構造解析を、中性子ホログラフィー技術と、中性子・X線・ミュオン等の量子ビームの相補活用を活性化する三次元計測技術の確立によって高度化
  • 素粒子標準模型を超える物理学の構築に向けたミュオン蓄積リング開発による基礎科学の推進、および東海地域での科学啓発活動

対象領域

1)新物質・材料創発に資する放射線(量子ビーム)を用いた物性・機能の微視的評価方法の高度化

  • 放射光X線散乱
  • 中性子散乱
  • 中性子ホログラフィー
  • ミュオン測定
  • イメージング
  • AI解析

2)エネルギー材料等の高度な物性・機能評価方法による開発

  • インフラ材料(金属組織材料・耐高温材料)
  • デバイス材料
  • 省エネルギー材料の創発

研究内容

  • J-PARC、JAEA、KEK等と連携し、中性子・放射光・ミュオンに共通のイメージング技術・解析開発プロジェクト
  • [重点・戦略的経費ミッション実現戦略分] ミュオン基礎科学のための電磁石整備の共同研究や遺跡などの非破壊透視等の東海地域における科学啓発活動に参画(重点・戦略的経費ミッション実現戦略分)
  • [外部資金:科研費学術変革領域(A)計画研究(〜2027年度)等] 新奇電子機能の基礎研究として非反転対称物質構造と拡張多極子物性の解明。合わせて単結晶構造解析用X線装置を整備[概算要求設備]
  • [外部資金:国際共同研究強化(A)(〜2026年度)等、総合科学研究機構クロスアポイントメント] インフラ材料等の開発におけるJ-PARCを主とする中性子産業利用の推進。金属材料の動的・ミクロ組織現象解析のための測定と解析スキームを開発。重水素化ポリマの合成。
  • 外部資金:科研費学術変革領域研究(A)公募(〜2025年度)] 中性子ホログラフィー検出器の改良による精度向上。中性子・X線・ミュオン等の量子ビームを用いた物質構造の三次元計測技術開発

研究教育から輩出したい人材像

X線及び中性子線をはじめとする高性能量子ビーム用いる高度材料計測方法の知識を有した技術者や研究者の育成

J-PARC中性子回折装置iMATERIAにおけるTOF型位置敏感検出器(PSD)で得られたデータのリダクションによる可視化

機能材料結晶構造解析

電池材料 動作観測

金属材料 組織解析

中性子ホログラフィー

社会/地域課題共考解決室

教育・研究基盤確立のための共用設備群

この「共用設備群」は、令和6年度教育研究組織改革分(組織整備)に関連した基盤的設備である。茨城大学は、近隣の原子力関係施設(JAEAやQST等)とのプロジェクト組成を活性化させる研究マネジメント体制を「原子科学研究教育センター」に構築し、① 次世代革新炉における安全技術の高度化、② 放射線による生命・環境への影響の解明、③ 量子線先端計測を活用した機能性材料の開発の3つの領域を一つに束ねることで、茨城大学型「革新原子科学」を推進することを計画している。この共用設備群は、改組後のセンターに所属する教員が実際に研究成果を輩出する際の中核となる設備である。